香の葉

たいせつな言葉を香りに乗せて

鮮血魔嬢・エリザベート(前編)

ご無沙汰してます。

 

今更ながら、うっかりFGO(というかエリちゃん)に転びました。
年末、友人にコラボキャンペーン開催中のパセラにつれていってもらったのがきっかけ。
その日にゲームを始めて、いわゆるガチャで初めて来てくれたのがエリちゃんことエリザベート・バートリー。


今回はそんなFGOとエリちゃんについて!

 

Fate/Grand Order』というゲーム

Fateシリーズ未プレイなので、シリーズ中での文脈などには触れずFGO自体の概要を大雑把に整理すると、
カルデアという組織に所属するごく普通の主人公*1が、歴史上の偉人や伝説の存在、果ては神様などを「サーヴァント」として召喚して、彼らと共に世界を滅亡の運命から救うための戦いに身を投じる……という内容のスマートフォンRPG……で、いいと思う。詳しい方、間違いがあったら教えてください。

 

盲目的に大好き!とは言いがたいところもあるゲームだけど、出てくるサーヴァントの元ネタを知ったり、お話を追いかけるのが楽しくて(あとエリちゃんが可愛くて)、のんびり遊んでいる。まだ第一部の北米です。 

 

歴史上の人物としてのエリザベート・バートリー

史実のエリザベートは16世紀末ハンガリーの貴族。現地の読み方ではバートリ・エルジェーベトというお名前。
ポーランド王やハンガリー王国の宰相などを輩出した名家の生まれで、教養のある女性。

 

だけど彼女の名が歴史に刻まれたのは、その教養や貴族としての華やかなライフスタイルではなく、恐ろしい所業ゆえ。
結婚してから暮らしたチェイテ城で、彼女は何人もの農奴の娘を拷問、殺害。やがてその魔の手は下級貴族の娘にも及ぶようになります。

 

周囲が事態に薄々気づいていた中、監禁された娘のひとりが脱走したのをきっかけに役人による捜査が行われ、犯行が明るみに。
裁判を経て、全ての扉や窓がふさがれたチェイテ城に幽閉された彼女は、その三年半後、孤独の中で死を迎えました。

 

あまりにもおぞましい行為から、彼女にはある種の伝説として吸血鬼のイメージがついて回るようになります。
鉄の処女という拷問器具を使って若い娘の血を搾り取り、その血を浴びて若さや美しさを得ようとする彼女のエピソードは、日本でも澁澤龍彦桐生操によって紹介されているので、なんとなくご存じの方もいると思います。*2


また吸血鬼小説の祖、『吸血鬼カーミラ』のモデルになったとも言われているらしいけれど、これについては出典のはっきりした資料が見つかりませんでした。 

 

FGOのエリちゃん

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我がカルデアのエリちゃん。全ての資源を惜しみなく注ぎこんでいるが、まだまだ成長途中

Fateシリーズでは『Fate/EXTRA CCC』が初出らしいですが、例によって未プレイ。

FGOの彼女は、凶行に手を染める前の14歳の頃の姿で召喚されているためか、自己中心的で傲慢ではあるもののどこか幼く可愛げがあります。そして史実での残虐さはあまり表面化していません。
サーヴァント化してから知った「アイドル」という概念に感銘を受け、自身もアイドルとしての振る舞いを貫き、周囲を振り回しています。かわいい。

 

サーヴァントになるのは死後なので、姿は子供でも、大人になってからの記憶がちゃんと残っています。生前の凶行については悔いている様子。

 

一見突飛なキャラクター設定ではあるけれど、自分の城で若さや美貌を求め続け、孤独な最期を迎えたエリザベートが、若く、美しく、大勢に注目されるアイドルに憧れた結果があの姿だと思うと、いじましくてならない……


ところでFGOには、エリザベートの所業や吸血鬼的な側面が強調された、カーミラという名のサーヴァントも出てきます。*3

エリちゃんから見れば大人になった自分の姿。ややこしい。

 

カーミラに向かって「あんたにはなりたくない」と言い放つシーンには、彼女の自分の罪に対する認識はもちろん、子供らしいまっすぐさ、向こう見ずさが表れているように思います。かわいい。


とはいえまっすぐさ、向こう見ずさ、そしてそもそも子供らしさというのは、一度凶行に走ってしまえば歯止めがきかなくなる原因でもあるのではないかと思います。

つまりそれはカーミラ的なものを否定するようでいて、カーミラと一番しっかり結びついている部分なのではないか。

 

だからどんなに過去の所業を悔いても、エリちゃんがエリちゃんである限り、カーミラの運命と決別することは根本的に出来ない。それは悲劇的な性質なのかもしれない。

でもそこに向き合って、それを否定し続けるからこそエリちゃんは魅力的なのです。*4


これからマスター(主人公)と一緒に歩んでいく中、そんな自分とどんな風に折り合いをつけていくだろう。私には考えもつかない方法で、飄々と乗り越えていくだろうか。

それぞれのサーヴァントにそこまで細かい物語が設定されていないので、そんなことを考えるのも楽しいです。

 

とか言ってまだ進めてないストーリーの続きであっさりただのかわいいアイドルと化している可能性も捨てきれない…!

それはそれでかわいいからよし!

 

そんな彼女のイメージに合う香りとはどんなものか、彼女ならどんな香水を身にまとうか、いろいろ妄想してみました……が、長くなりそうなので、次回の記事で!意外な発見もありました!

*1:ということになっているけれど実際のところ割と常人ばなれしていると思う。肝っ玉とかそもそもの能力とか

*2:ただし鉄の処女って当時実際に使われていた証拠がないらしい。ちょっとがっかり。

*3:名前の由来は前述の小説のようだが、人格は小説の登場人物ではなく、完全にエリザベート

*4:考えてみればこの辺のことは、ストーリーの中でエリちゃん本人がだいたい話していたのだった